たけがみじゅんこのちょっといい話
2023.03.01
積み上げていく指導
【ご質問】
先日、社内での会議中に座ったまま意見を言おうとした後輩に「立って言うように!」と言うと、横から上司が「まあまあ、そこまでしなくても」といさめられました。いつもこのように、私が指導の意味で指摘をすると、上司がブレーキをかけます。社内でも節度を持った行動は大切だと思うのですが、何も言わないほうがよいのでしょうか。もやもやしています。
【回 答】
タイミングと言い方を考え、“指摘”より“提案”として伝えましょう。
後輩のためにとの想いが上司や周りに通じず、もやもやしているのですね。周りに気配りができるあなただからこそ、気がつくことですが、ここは少し、指摘をした時の状況を振り返ってみましょう。
言われるように後輩に対して教えることがなければ、当人は失礼な言動・立ち居振る舞いを続けることになり、周囲の信頼を失うことになりかねません。そのようなこともあり、あなたの後輩を状況毎にしっかり指導をする考え方は間違っていません。しかし指導をする際には、どのような状況で指導をしているのか、その場の様子やタイミングも考えなければなりません。
今回の場合のように皆の前での指摘は、見せしめ的な印象にもなりかねず、後輩もあなたの忠告をすんなりと受け入れることはできないかもしれません。後輩が全員の前で恥をかかされたと思わないように「メモにして回
」などの心配りも必要ではないでしょうか。
また言い方の工夫でも、印象はずいぶんと異なります。「立って話すように」と命令調子ともとられかねないような口調を、「後ろまでよく聞こえるように、立って発表したらどうですか」と提案型にするだけで、ずいぶんと受けとめが変わります。強い口調で指摘をすると、当人も驚き委縮しますから、その後に続く本来の意見も、十分に伝わらないものになるかもしれません。
上司の言われる「そこまでしなくても」は、言われる人に恥をかかさないように、また意欲的な姿勢をつぶさないようというメッセージが込められているのでしょう。言われた当人が「良くない態度だった」と反省し、改めることができるよう、場所とタイミングを踏まえた気遣い指導のひと言が、段階を踏み、後輩の成長を後押しすることにつながります。
代表取締役社長 竹上順子
2023年03月