たけがみじゅんこのちょっといい話

2022.06.01

デジタル教育とアナログ教育

皆様から寄せられたビジネスマナーへの質問にお答えさせていただきます。今回はアルバイト従業員への指導についてのご質問です。

【ご質問】
飲食店の店長をしています。お客様の多い土日を中心に、Z世代(1990年代中盤以降に生まれた世代)のアルバイトさんを採用しました。基本はホールサービスの仕事ですが、忙しい時にはキッチンの補助にも入ってもらいます。そのため当店のオペレーションマニュアルと、キッチンの補助マニュアルの動画版を渡して、仕事を理解してもらえるようにしました。
ところがZさんは、動画を標準速度で見て学習するのではなく、倍速回しで見ています。そのせいか、お冷提供やバッシングのタイミングが合わず、何度もお客様から叱られました。Zさんは「流れの理解は倍速で、ミスした時はじっくりとポイントを確認するようにしている」と言いますが、私は初めから手元の端末を見ながら動きを理解し、それからお客様の前に立ってもらいたいのです。このような人たちには、どのような指導をしたらよいのでしょうか。携帯でも見ることができる動画マニュアルにしたのが、良くなかったのでしょうか。
ちなみに私が対面で指導をした時にはできていたので、オペレーションの反復理解ができていないように思います。

【回答】
動画マニュアルは補助ツールです。対面指導で理解させてから、動画の確認や自主学習に進めましょう

動画レシピやマニュアルが増えてきましたね。いつでもどこでも見ることができる動画は大変便利ですが、教える側の手抜きになってはいけません。Zさんがおっしゃるような「動画は倍速で流れを確認し、ポイントだけを繰り返しじっくりと視聴する」という方法は決して間違ってはいませんよ。
短期雇用のアルバイトさんの教育は、十分な指導の時間が取れないため、ガイダンス説明だけで「後は動画で確認してね」といった指導も多くなっているようですが、これは経験者には有効でも、未経験者には不向きのため、教える側の工夫が必要です。
例えば飲食店であっても、レストランと居酒屋では接客手順が違います。まずはその考え方や、なぜそのようにするのかといったことを、丁寧な対面指導で分かってもらう流れを、飛ばしてはなりません。その中でもちろん、「動画のこの部分を見ておいてね」という指導は、効果を上げていきます。
指導の目的は、店側が行いたいサービスの円滑な発揮ですから、相手の経験や働き方によって、対面を基本、動画は補助ツールとして活用しつつ、学ばせ方の工夫をしていきましょう。

代表取締役社長 竹上順子

2022年06月