たけがみじゅんこのちょっといい話

2022.05.06

封字の使い分け

皆様から寄せられたビジネスマナーへの質問にお答えさせていただきます。今回は封字についてのご質問です。

【ご質問】
会社の人事異動について、案内状の封のところに、「×」と書いていたところ、上司から「これは使ってはいけない」と言われました。よく見る印しなのですが、いけないのでしょうか。

【回答】
本来は「〆(締の略字)」を使いますが、「×(バツ)」とも見えるため、ビジネス文書では使いません。

 封書を閉じる時に、開封されていない印しとして、封字を使います。何種類かある中の“〆”は、“締”の略字ですが、一見すると“×”にも見え、ビジネス文書に似つかわしくないため、使いません。案内状などの場合は、封字の中でも“締”や“封”がよいでしょう。
 “締”はどのような場面でも使える封字で、“封”は改まった印象です。他には“緘”がありますが、こちらは手書きすることはなく、シールを貼ったり、印を押すなど、重々しさを伝え、名指人以外の開封を禁ずるという意味を強く打ち出します。以前の現金書留封筒の封緘紙もこの文字を使っていました。他には、締めるという言葉の意味合いが「ものごとを終わらせる」という意味につながることから、結婚式の案内状などの祝い事には“寿”や“祝”を使います。
 ビジネス文書の中でも、請求書・見積書などの月次や、発生の都度送付する文書、事務的に代表者あてに送る文書には封字を使いません。封字には、名指人以外の開封を禁ずるという意味合いがあるからです。多くの場合、名指人を限定して送付する時は、表書きに“親展”とし、名指人に開封していただくように依頼をします。
つまり、封字を記すことは、名指し人が開封することへの、少し強めのメッセージになるので、
ビジネス文書では、差出人の遜りの意味を込めて、頻繁には使いません。
 封字の意味を理解すると、文書の目的や、受け取る方にどのようなメッセージを込めるのかなど、一旦考えた上での差し出しができ、気持ちも届きやすくなるのではないでしょうか。

代表取締役社長 竹上順子

2022年05月