たけがみじゅんこのちょっといい話

2018.06.01

スマートなお茶のおもてなし

皆様から寄せられたビジネスマナーへの質問にお答えさせていただきます。今回は、お茶の出し方についてのご質問です。
【ご質問】
打ち合わせでのお客様へのお茶出し(日本茶で茶碗に茶卓のセット)の時、両手で差し出そうとすると思うように動けず、仕方なく片手でしていますが、これはよいのでしょうか。お茶を出す時、テーブルのどの位置に出したらよいでしょうか。特にテーブルが書類でいっぱいの時、どうしたらよいのか困ります。
【回 答】
「お茶は両手で持ち、出す時は片手で、反対の手を添えます。出す位置はメインの書類のじゃまにならないところに置きます」
物の受け渡しは両手で行う、ということはビジネスシーン以外でもよく言われますので、お茶を出すという少し緊張する場面では、なくてはならない基本動作と思われますよね。ですが実際に両手で茶卓の右と左の端を持って差し出すと、丁寧さは十分にありますが、手の届く範囲が限られ、また力の入れ方が不安定になり、お茶の入った状態ではバランスがとりにくく、こぼれそうにもなります。
お茶を出す時には、茶卓に茶碗を乗せてから、一旦胸位置=大切さを表す位置に持ちます。そこから差し出しますが、茶わんの乗った茶卓を持つのは、お客様と反対側にある手だけで、お客様側の手は添え手として軽く茶卓に添えます。(力はほとんど入っていません)つまり、右側にお客様がおかけになっている時は、左手を軸手にし、右手を添え手として、茶卓に添え、テーブルに置く時には、左手だけでつまり、片手で置きます。添え手の右手は、差し出すタイミングで茶卓から手首のあたりに添え手の位置を滑らせていきます。結果的に片手になってしまいますが、テーブルに置く直前まで添え手があることで“両手扱い”となり、両手で持っているのと同じ丁寧さの表現ができます。
そして、置く場所ですが、テーブルの上に何もない時には、お客様の正面でお客様が召し上がりやすい位置に置きます。書類などがその位置にある時には、下座側(出入口に近い側)に置きます。テーブル一面に書類が置いてある時には、社内の方に「どちらに置かせていただいたらよろしいでしょうか?」と聞いてみるのもよいかと思います。お客様のためにお持ちしたお茶を置くためのスペースは作ってくださるはずです。
迷ったら、聞いてみて、その場を仕切られる方のお考えを基に対応することが、お客様の快適なビジネス空間づくりにつながることと思います。お茶を出すのは、おもてなし表現とその場を円滑に進める後押しですので、出過ぎずスマートに行いたいですね。

代表取締役社長 竹上順子

2018年06月