たけがみじゅんこのちょっといい話

2016.07.04

たけがみじゅんこのちょっといい話:ゴミ拾いコミュニケーション

道端の空き缶やたばこの吸い殻などを拾った映像を撮影して、ピリカで投稿すると、数分後に感謝のコメントが届くというしくみをご存知ですか。
 環境問題に一手を打つ、ポイ捨て対策のアプリ「ピリカ」はなんと日本で開発され、世界76ケ国、30万人が参加する運動になっています。
開発者の小嶌さんは、小学校の時に図鑑で環境破壊の様子を写真で見た時から、「ウルトラマンのように地球を救いたいと本気で思った」と言われています。社会に貢献する人は子どもの時から、ただぼんやりとウルトラマンを見てはいないということですね。
このアプリが一気に拡がりを見せたのは、写真を投稿するとピリカから「ありがとう」などの感謝の言葉が返ってくるところです。善いことをしたのを見てくれていると確認できることが、繰り返しゴミを拾うという行動につながっていくのでしょう。
思えば、道端の空き缶を拾い、ゴミ箱に入れると、本当はその空き缶から「ありがとう」というメッセージを受け取っているはずなのですが、声なきメッセージは心には届きにくく、崇高な考えを持っていないと善い行いでも長続きはしないのです。きれいなゴミなどないですから、自分の手を汚したり、その時間をムダにすると思えば、億劫になるでしょう。
本来は、ゴミを道端に捨てる人を見かけた時に「ゴミ箱に捨てましょう」とか「良くないよ」などの言葉をかけたり、拾った人を見かけて「大変でしたね」「私も拾いますね」などのねぎらいの声をかけるコミュニケーション活動があればよいのですが、人間関係が希薄となっている昨今、おいそれと声もかけられません。ピリカに助けられないと、善いことをするのでさえモチベーションが継続できないというのもうなづけます。
職場でも、「朝挨拶をしても、全く返事をしてくれない人がいる」という話しはよく聞きます。挨拶しない職場で、お互いを認め合うコミュニケーションや職場連携など、できるはずもないですね。
善い行いには感謝のありがとうを言う、挨拶をされたら挨拶を返す、こんな当たり前のコミュニケーションが積み重なっていくことが、職場のモチベーションを上げる大きな力になるのかもしれません。

代表取締役社長 竹上順子

2016年07月