たけがみじゅんこのちょっといい話

2016.06.06

たけがみじゅんこのちょっといい話:おせっかい

姪が結婚しました。いわゆるジューンブライドというやつです。昔々の話ですが、結婚は家同士のつながりといわれた時代もあって、子どもの結婚にはずいぶんと親が干渉したものでした。ところが全ての結婚イベントの主役を新婦が担う今は、披露宴のイベントも新婦の友だちが仕切るようになっています。
そんな昨今、行き過ぎた親切で当の新郎新婦を困らせる新婦の友人たちのお話を紹介します。親切や気配りは相手が喜んでこそ成立するのだということを、私たちは努々忘れてはなりません。
幼い頃両親が離婚をした新婦は、長い間音信不通の父親がいました。友人たちはこの父親を結婚式のビデオレターの主役として登場させようと企画したのです。むろん新郎新婦にはその企画の話をし、父親の居所も聞き出し、メッセージも録画して意気揚々としていました。
ところがそのようないきさつは、当の母親には一切伝えられておらず、結婚式の一週間前になって母親や祖父母が知るところとなりました。離婚の際のひと悶着からいまだにしこりを残し、離婚後すぐに新しい家庭を持っている別れた父親に、母親をはじめ親族は誰もが良い感情を持っていません。 このような家族の心境を察した新婦からビデオレターのお断りの連絡が入ったのです。
感動ドラマを思い描いていた友人たちは、新婦から断りが入ったことで周りに配慮なく進めてしまったことを反省されたようです。
 この件に限らず自分の思い込みだけで暴走することはよくありますよね。
 電話の不在対応で相手の方が「自分からお電話しますので、折り返しの電話は結構です」とおっしゃっているのに「いえいえ、こちらから電話させますから」と、外出先の担当者に電話をさせたら、先方は会議の最中で、結局会議を中座させて話しをさせることになったとか。上司から「手書きでいいから30名分の会議資料、すぐに修正して」と言われたのに、PCで打ち込んでプリントアウトしたら会議に間に合わなくなったとか。この方法がいいに違いない、という思い込みは時として周りには迷惑なこととなってしまうこともあります。
相手にとって、それが求めるものであるかどうかは、自分の考えを一旦置いて考えてみることが必要かもしれません。なにしろ、受け取った本人が「ありがたい」と思わなければただのおせっかいですから。

代表取締役社長 竹上順子

2016年06月