たけがみじゅんこのちょっといい話

2016.05.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:心のよりどころ

 最近、私は「♯くまモンあのね」を見て、涙腺をゆるませています。皆さんもご存知かと思いますが、熊本で被災された方々からのメッセージや、被災地に向けた様々な想いをつぶやくTwitterです。
『余震が怖くて家の中のドア全部開けてるよ 猫たちはまだ怯えてる ガラスが割れて飛び散ってた台所は今でも入りたくない でもね やっと自宅で家族みんなで丸くなって眠ったよ お風呂も入れたよ 普通のコトができるって幸せ』(♯くまモンあのねより抜粋)
大変な状況の中での感謝やささやかな喜びなど、飲み込んでいた想いを、くまモンが聞いてくれる、「聞き手がいる」というところが発信する方々の心のよりどころになっているのでしょう。
 このツイートを見ながら、友人Aさんのことを思い出しました。Aさんは、子供のBくんがまだ小学生の時、夏休みの宿題で出ていた「夏休み毎日日記」に悩まされていました。今日起こったこと・思ったことを文章にするのが苦手で「何を書いていいか分からない~」と、手を付けず、たまっていく日記が20日分以上になるのが、毎年夏休みの恒例だったのです。
そこでAさんは、考えました。「お母さんあのね」から始まる短い言葉で、今日の出来事をお母さんに言うように書いてみて、とフォーマットを提示したのです。書きにくかったら、まずは言葉で言ってみてもいいからとも添えました。すると、「お母さんあのね・・・今日はプールでいつもより長く潜れたよ」と、結論が出てきました。「いつもはどのくらい?」「8秒くらい。でも今日は10秒いけた!」と、詳細が続きます。
今、言ったことを書いてつなげてみて、とアドバイスをすると、そこで短い日記が出来上がります。このお母さんあのねフォーマットを使い、夏休みの毎日日記は攻略できたと言います。
思っていることを文章にするのは、大人でも大変ですから、“誰かに投げかける”フォーマットがあるということは伝えたいことを整理をする上でまとめやすくなるのでしょう。その対象がお母さんだと、力みも抜け気持ちも前向きになります。
宿題の日記を代わって書くわけにもいかず、イライラする気持ちにはなりますが、「夏休みが終わっちゃうでしょ!」と追い込むばかりではやる気も失せます。職場の中でも、優先順位や考えがまとまらずフリーズする若手社員には、できるためのフォーマット作成=お膳立ては大切ですね。何せマニュアル世代、次に同じような場面で迷っても使える枠組みがあることが何より心のよりどころとなるのです。

代表取締役社長 竹上順子

2016年05月