たけがみじゅんこのちょっといい話ブログ

　シュウカツと聞いて、皆さんはどんな字を想像しますか。“就活”であれば一般的ですが、もし“終活”という字が思い浮かんだのであれば、案外、たそがれているかもしれません。
　先月私の知り合いのＡさんが長年営んできた会社をたたみました。自動車部品の加工を営んできたその会社は、羽振りの良い高度成長期にはたくさんのパートさんを抱える会社でしたが、世の中の移り変わりの中、事業の切り替えに失敗し、後継者もいなかったことから廃業を決めました。
　と、ここまで聞くと、その経営者は一体どうなってしまったのだろうと暗い思いが横切りますが、さすがは激動の昭和を乗り越えてきたつわもの経営者です。切り替えも早く、会社の終わりに先駆けて、従業員は全て関連他社に就職させ、自らは新築マンションを購入し、新しい人生をスタートさせました。
　Ａさんの終活のコンセプトは“自分がいなくなった時、周囲にストレスを与えず日常生活に混乱がないこと”でしたので、会社では従業員が、そして家族では子どもたちが混乱を起こさないよう、しっかりと申し送り書を作成されたということです。
　シュウカツでも、就活は社会に羽ばたく新たな人生を始める意味、終活は今までの人生に感謝をし、混乱を生じさせないように終える意味、同じ響きの言葉でも意味は真逆を表しますから面白いですね。
「ソー活を利用した就活を」、「友活を拡大させて婚活に」、「妊活済んだらすぐ保活して」など、「活」がつく言葉は、積極的に何かに励むということのようです。そう考えると私たちもメディアから流れてくる「なんちゃら活」という言葉に感心するばかりではなく、自分自身の活動を「○○活」で表してみるのも良くないでしょうか。
例えば思いやりのある優しい行動を心がけたい人は“おも活”で、禁煙に励む人は“ＮＯ煙活”、そしてダイエットの真っ最中の人は“瘦せ活”なんて面白くないですか。
変化の少ない毎日だからこそ、私たちも自分から積極的に行動できる自分だけの「○○活」とタイトルを作って目標にし、前に向きに生きたいものです。
　さて、そんな話を先のＡさんに話してみました。あまり興味なさそうに聞いていたＡさんでしたが「今は何活ですか」と私が聞いた途端、目を輝かせて「今はキョウカツ！」と明るく答えました。聞くとこの頃ネットオークションにはまり、先日も福祉車両を落札したとのこと。キョウカツ=競活のことのようでした。やっぱり団塊世代には発想も行動も私は勝てません。