たけがみじゅんこのちょっといい話

2015.09.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:わかりやすさとわかりづらさ

 分かりやすく話すことができる人と、「この人、いったい何を言ってんだろう」と思わせる人がいますよね。 職業柄私は他の人から見ると、いかにも話がうまいだろうと思われがちですが、全くもってそうではありません。 初対面での会話や、慣れない場所でのあいさつなど、大概、口から出る話にはまとまりがなく、だらだらと火の点いた蚊取り線香のように回ります。 話し上手になるためには、何より〝慣れ″が重要なのではないかと思っているほどです。
さて、先日巷でトップセールスマンと言われる人と話す機会がありました。もちろんその方と私は初対面ですが、彼は会った矢先から〝あなたのことはよく知っています″と言わんばかりの親近感で話を始め、自分の仕事の話に移ると、私の分かりやすい例に置き換えながら、私の気持ちを自分の仕事へと惹きつけました。
あまりのすご技に驚かされたので、トップセールスマンに学ぶその極意を2点に絞って紹介します。
まず1つ目です。「初対面の人と打ち解ける時は、その人の周辺環境の話題で近づく。」例えば共通の友人の話から入り、盛り上がるまで次々と共通の話題を探すという方法ですね。
次に2つ目は、「自己的な話題に進める時には相手が分かる事例に置き換えて、相手の希望を満たす。」例えば、東京ドーム1個分の広さの敷地面積とか、30代の頃のお肌感触などといった、相手の望みにつなげる事例の使い分けです。
この事からもトップセールスマンになるためには、相手本位の姿勢と気づきが大切なことが分かります。
「初対面で自分の話に終始する」、「仕事の話では専門家しか理解できないようなところへ展開にする」などは最もしてはならないことなのです。
でも近頃ではこんな高度なことではなく、こちらが至極分かりやすく伝えているにもかかわらず、全く相手に理解してもらえないことも起きています。
それは飲食店で複数の品を注文する時などの、こんなやりとりです。
「こんな料理は頼んでいません」→「少々、お待ちくださいませ」。「まだですか」→「少々、お待ちくださいませ」。「この飲み物も違いますよ」→「少々、お待ち下さいませ」。
この頃では従業員に間違えられないように、客であるこちらが工夫して注文を告げなければならなくなりました。
トップセールスマンまでとはいかなくても、向き合う相手に気を遣わせなくても良い表現力は持ちたいものですね。

代表取締役社長 竹上順子

2015年09月