たけがみじゅんこのちょっといい話

2015.08.03

たけがみじゅんこのちょっといい話:カイシャの不思議

入社した時は日本の会社だったけれど、国際競争を戦い抜くうち、親会社が外国の会社なってしまった。そんな話に私たちはもう驚かなくなりましたね。
とは言うものの、親が変わると仕事の環境変化は大変なもので、報・連・相の仕方や職場内コミュニケーションも大きく異なってきます。この環境変化にどれくらい柔軟になじめるのか、それが仕事を円滑に進める上で重要なポイントであることは、みなさんも十分承知のことだと思います。今月はそんな環境変化に驚いた知り合い外国人のジェフさんと、その上司の困惑を紹介します。
彼は一昨年、傘下になった日本の子会社に家族と一緒にアメリカから転勤してきました。
来日して何日か研修を受け、その後、配属先となる工場への通うことになりましたが、彼が初日から驚いたのは、ラジオ体操と日本の礼節行動でした。
 まず始業前に行われるラジオ体操では、リーダーらしい若者のイチ、ニ、サンシの掛け声よろしく、全員が同じリズムで手をあげたり、前屈したりする姿に衝撃を受けました。
私たちは小さいころから馴染みのあるラジオ体操に違和感はありませんし、仕事前に事故が起こらないよう身体をほぐすにはラジオ体操は有効だと思っていますが、体験のない彼には大きな驚きで、「なぜ誰も間違えずに行えるのか」「子どもの頃から誰もができると聞いたがなぜか」「会社では体操の研修をしたのか」と、上司を質問攻めにしたそうです。
もう一つの初日の驚きは、入退室の姿勢を正した「失礼いたします」のあいさつでした。「なぜ失礼なことをしていないのに、あのように謝るのか」と、これも上司に聞いて困らせました。
このように私たちが普段当たり前のこととして行っている行動や礼節も、異なる文化圏から来た人から見ると、礼節どころか慇懃無礼と映ったりするので、その背景を理解するようにしなければなりません。
円安効果もあって、外国人観光客が街にも多く訪れるようになりましたし、これからも益々増えて私たちは交流する機会がありますが、「道で大きな声で話すよね」「時間守らないよね」と眉をひそめる前に、生活や文化の違いから理解し、協調しあうことも必要かもしれません。
さて先のジェフさんですが、初日居酒屋で開かれた歓迎会には本人だけでなく、二人の子どもと奥さんを連れて参加をしたということで、これまた上司をちょっぴり困らせてしまいました。

代表取締役社長 竹上順子

2015年08月