たけがみじゅんこのちょっといい話

2015.05.09

たけがみじゅんこのちょっといい話:身にしみる親切

もう10日以上も声が出ません。風邪はひき始めの養生が本当に大事。“あなたの風邪はどこから? 喉から? 鼻から?”こんな冬の始めのコマーシャルを思い出しながら、今日も声を出さない、出せない静かな生活を送っています。
さて私、こんな状態になってみて改めて感じることもありました。それは障害を持つ人に対し、世間の人がとても優しく、その対応が訓練され自然だということです。(私の場合、一時的な障害ですが・・・)
例えばコンビニのレジ、支払いの時に携帯電話を出せば、従業員はサッとメモにエディ?ナナコ?スイカ?と書き、私に見せる。指で指すとすぐにウンとうなずき、明るく「ありがとうございます」と答えて、そのスピードは一般レジの流れと変わることはありません。実に素早く感じが良いのです。
駅の改札でも電車の中でも、指を喉にあててバッテンを出すと皆が一応にうなずき笑顔の対応になり、困ることはありません。ムスっとしている人であっても、私は話すことができません的なアクションでガラリと変わるんです。驚きました。
でも中には私のバッテンを見た途端、手話を始める人や自分も声を出さずに大げさな身振りや口パクで接してくれる人もいましたし、ホテルのフロントで”チェックイン”ですと書いた紙を渡した時は、“お疲れ様でした。2泊ですね”と書いた紙をもらい、驚かされました。慌てて“聞こえるので話してください”と書き返すと、“かしこまりました”と、またまた書いて返すなど、もう笑っちゃうようなことが毎日起こっています。みんなとても親切で、善意にあふれる日々を送っています。
また仕事のコミュニケーションは手書きメモで会話していますが、こちらも短時間で要点だけを伝えられるので便利です。
おまけに話した内容は書き込んだ紙で再確認できたり、ミーティングに途中参加した人に渡したりと、筆談ホステスならぬ筆談コンサルも好評でした。これまでは随分と余計な話に多くの時間を費やしてきたんだなぁと、反省も少し……。
けれどこんな筆記と身振りで伝える筆談コンサルが順調にいくのも、向き合う相手の心の広さがあるからなのでしょう。本当に感謝、感謝です。
声枯れという身に起きたアクシデントでしたが、思いがけず周囲の人の気配りが身にしみる時間になりました。

代表取締役社長 竹上順子

2015年05月