たけがみじゅんこのちょっといい話

2015.04.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:指導は「なぜ」から

今年も、真新しいスーツにピカピカの靴、慣れないネクタイ姿、ひっつめ髪の新入社員が職場に仲間入りしました。毎年のことながら、新しい職場・環境に一生懸命に馴染もうとしている姿は、受け入れる先輩たちの気持ちもリフレッシュさせてくれます。
 今年の新人の傾向は「消せるボールペン型」とのこと。変化に対応できる柔軟性を持っているものの、熱血指導には耐性が弱いと言います。毎年、様々な「型」で紹介される新人の傾向ですが、結局は、入ってからの指導如何でいかようにもなるということに尽きるのでしょう。
 指導と言えば、ここ数年、新入社員の教育も内定段階から念入りに行われるようになりました。内定者が集まり、ひとつのテーマでのグループ討議をしたり、先輩からの話しを聞いて、組織の考えや目指すものに触れ、通信研修では社会で必要な基礎表現であるマナーを学びます。そして、入社までの心構えを、勉強会で学んだ内容や、手渡された会社の資料、経済や業界の動きを含めて、レポートにまとめ提出をします。
 このような入社前3ケ月の期間を経て、新入社員は会社への帰属意識を高め、受け入れる側は、新入社員の傾向や個性を踏まえた入社後OJTの準備を進めていくのです。
 受け入れる側から挙がる声は、「内定者の会合でおとなしかったので、心配していたけど、職場ではハキハキとあいさつもできていて安心した」「グループワークで暴走しがちだったと聞いていたが、極度の緊張がそのようにさせていたようだ」など、事前情報を踏まえて接することができ、距離が縮まるのが早くなったと聞きます。お互いに“まっさら”なスタートではないということへの安心感があるのでしょう。
 今年の新人は、自分の気づきを基に、自分の意志で動くと柔軟に対応でき、反対に指示・命令に対し、なぜ行うのかの理由が分からないと、言われたことのみを淡々と行う方々です。ですが、このような状況は、何も今年の新人だけではなさそうです。先輩たちも、「なぜ」メールで済ませず電話をするのか、「なぜ」こちらの仕事を優先させるのか・・・理由が分かると次のステップの応用編にも、本来の主旨とずれのない対応ができます。時代に合った指導には色々な方法があるにせよ、伝える根本は大きくは変わらないということですね。
 指導をする側の想いが、相手に届かないと、ついつい力が入り、「なぜわからない!」と相手の態度に対する「なぜ」を投げかける、勢い100%の熱血指導となってしまいます。相手の欲しがる「なぜ」を軸にした指導をし、“書いたはずなのに、白紙に戻っていた”とならないようにしたいものです。

代表取締役社長 竹上順子

2015年04月