たけがみじゅんこのちょっといい話

2014.10.06

たけがみじゅんこのちょっといい話:逸材を逸材として生かすには

秋も深まってきました。夕方6時ごろにもなるとすっかりあたりは暗くなって、本当に秋の夜長とはよく言ったものです。みなさんは秋の夜長をどう過ごされていますか?
 ゆったりと読書をして過ごすという人もあるかもしれませんが、大体は呑んでるか、食べているか、観てるかなのではないでしょうか。私の友人には暗くなるとギターを持って歌って過ごすという人もいますが、これは夜長の過ごし方の中ではレアなケースでしょう。
 そんな私は秋の夜長はもっぱら食べながら、そしてテレビを観て過ごすタイプです。だいたいに根が横着ですから、陽が落ちてからは身体と頭は休めるもの、ずっとそう考えて、今でも毎夜のほとんどを自宅テレビの前に座り、ある時は野球に興じ、またある時は逸ノ城の録画相撲で熱くなりながら秋の夜長を過ごしています。
しかし鳥取城北高校出身でモンゴル生まれの逸ノ城の活躍はすさまじいですね。新入幕なのにいきなり優勝候補にあげられちゃって、土俵では横綱や大関もゴロリところがしていました。“逸材だから逸ノ城”。そんな四股名にふさわしい活躍をずっと長く続けてほしいと思っています。
さてそんな逸材、私の周りにどれくらいいたのだろうか。ちょっと考えてみました。
例えば抜群に記憶力が良かったKさん。子どものころから愛媛の田舎では神童と呼ばれていたとかいないとか、とにかくメモしなくても見ただけで覚えてしまい、電話番号を記録する手帳が20代は要らなかったといいます。事実そんな彼の様子を初めて見た時、“この人、まるでゴルゴ13のようだ”と感嘆しました。
ところがそんなKさんも今年で齢50歳。昨年会った時はICレコーダーを手に持って「この頃は忘れっぽくなってね。大事な会議の時には、これ(ICレコーダー)とメモを離さないようにしているンですよ」とおっしゃっていました。また友人のMさんなど、小学校の時は並外れた遠投力と瞬発力で“ろくむしの大女王”と隣町まで名をはせていたのに、今では運動よりもカラオケが大好きというおばちゃんになっちゃってます。
こう考えてみると、子どもの頃のすごかった人が必ずしもその道で大活躍をするわけではありません。テニスの錦織選手にしても相撲の逸ノ城にしても、天性の力だけではなく周囲の環境や本人の努力があったからこそ、活躍できる逸材に成長しているのです。
何かこれは実業界でも同じですよね。かつて超氷河期と言われた時期に採用した新入社員や、業界で名をはせた有能な中途採用社員は、今はどうされていますか。もし仮に彼らの実力が十分に発揮されないままだとすると、指導者か職場環境かはたまた本人の努力不足か、いずれかに原因があるのではないでしょうか。

代表取締役社長 竹上順子

2014年10月