たけがみじゅんこのちょっといい話

2014.04.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:新入社員のカタチ

 今年もフレッシュな新入社員が社会に巣立っていきました。
いつの時代も新入社員に共通することは、周りの私たちに若き日の希望を思い起こさせてくれること。そして怠慢になった自分の仕事の仕方を反省させてくれることです。
 皆さんの職場にも新入社員研修を終え、ひときわ大きな声であいさつをする新入社員が職場の空気を変えているのではないのでしょうか。
 さて(社)日本生産性本部が発表した、今年の新入社員を表す言葉は「自動ブレーキ型」タイプでした。アベノミクス効果で経済活動が活発化し、採用枠も増えたことから従来の自己アピール型は影をひそめ、一層人間関係は安定志向になりました。その象徴が自動ブレーキと言うのだと思います。皆さんの周りの新入社員も他人との衝撃を避け、ぶつかりそうになると体内ブレーキを作動させ、自己コントロールをするハイテク新人が多いですか。
 実は新入社員研修でも「自動ブレーキ型」の特徴がよく出ていました。研修の中で全体に広く意見を求めたとしても、今年の新人は自分の意見を積極的に言うことはありません。けれど「〇○さん、グループの意見を代表して言ってください」と名指しをして向けると、スイッチが入ったかのようにペラペラッと、それも実によくまとまった意見を言えるのです。そんなら最初から言えよ・・と、イラつくこと限りなしと担当講師が言っていました。
 そんな彼らも評価されることは大好きで、「さすがよく考えられています」などと誉めようものなら途端に、「イエーイ!」と親指を立ててポーズをし、メンバー同士ではハイタッチするのですから、目立ちたくないから黙っているというのとも違うようです。
 道筋を立てて教え、小さな成果を認めて元気づけるという山本五十六元帥の「やってみせ、言って聞かせて、させて見せ、誉めてやらねば人は動かじ」といった教育の基本を忠実に行うことが何より彼らの成長には一番だと思えるこの頃でした。しかし熱心に教え、誉めた結果が「イエーイ!」とやられたンでは、きっとムカつくと思いますよ。念のため・・
 小賢しくちまちまとまとまった彼らも半年もすれば、すっかり職場の色に染まります。何はともあれ新入社員という既存の職場にないエネルギーを満喫できるのも半年です。半年の間にしっかり職場環境の整備をし、本当の大人にしてあげましょう。
ち なみに昨年(2013年度)は、手をかけなくても自らが動きまわる様子を表した「自動ロボット掃除機型」と呼ばれましたし、内定率がびっくりするほど低かった一昨年(2012年度)は、厳しい競争に打ち勝ち、自身の存在感を証明したことで「奇跡の一本松型」と言われました。
 こうしてみるとこの3年の間に、勝ち残りから効率的な動きのできる大人を経て、周りとの協調性を強め、益々大人になった新入社員を私たちは受け入れています。
 頭からしっぽまで過保護というあんこが詰まって、使い物にならないと言われた「たいやき君」時代の私から見ると、齢若干20歳そこそこであんなに立ちまわれるなんて、自動ブレーキと言われようが自動ロボット掃除機と呼ばれようが、それはそれでみんな素晴らしく立派に見えてしまうのです。

代表取締役社長 竹上順子

2014年04月