たけがみじゅんこのちょっといい話

2013.08.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:7・5・3の打破に向けて

 今年も夏の甲子園で、第95回高等学校甲子園大会が始まりました。お盆休み中はこの大会のクライマックスに当たるので、今年も熱い戦いをテレビで楽しめそうです。
 さて高校生が熱いのは、何も甲子園ばかりではありません。先月7月の暑い日に、高校生の就職活動を支援するためのセミナーが開かれました。
 担当した講師の話では「高校生はすっごくまじめで、大変熱心。私の高校の時みたいにボケ~とした子が見当たらないンですよ。それなのになぜ職場で、人間関係で行き詰るのでしょうね。不思議です」・・・という状況らしいのです。
 県内3か所で開かれたセミナーに参加した高校生は約650名。詰め込まれた会場の中ではもちろん、講師が歩くとサッと道を開け会釈をし、廊下ですれ違うと手を身体の脇でそろえ「こんにちはぁ」や「ちわぁ」と言う。中には笑顔で言うという人たちだったらしいのです。
 もっと講師を驚かせたのはセミナー中の高校生の姿勢と持続性で、「私の質問でそうだ!と思う人は手を挙げてください。手はまっすぐ上に伸ばすとやる気が伝わりますよ」と言うと、多くは「うん」とうなづき、きびきびと手を挙げ、それが最後の最後まで続いたということです。
 もしこれがやらされではなく、自らの意思でそうしているのであれば、こんな立派な若者たちを地域の企業は絶対採用をすべきですね。でもあいさつはできても自分の考えを問われると、急に押し黙る高校生も多いらしいので、やはり“キビキビあいさつ”は学校教育の賜物なのでしょう。
 一方、引率の先生は「こんちはッ」と明るい高校生と裏腹に、相当厳しい表情のようでした。もちろん講師とすれ違ってもあいさつはなし、視線はセミナーに参加している高校生の一挙手一投足に集中され、講師のことは見ていても見ていない様子だったということです。けれど社会性というものは、身近な大人の姿勢から子どもは学んでいくものですから、やはり今回の目的を考えると身近な大人である先生が、社会人の手本を見せて欲しかったですよね。残念です。
 春に就職しても半年までに会社を辞める高校生は約7割、短大専門学校生で約5割、大学生は約3割と言われてきた離職率の7・5・3も、未だ改善に向かっているとは言えません。採用した若者を辞めさせないため、今や会社では“辞めさせないための叱らない教育”も行われているようです。こういう取り組みも大切ですが私は「ちょっとくらい失敗したって大丈夫だよ」と言ってあげられる職場の人間関係こそが、もっと大切だと思うのですが皆さんはどう思いますか?
 セミナーで証明されたように、目的と方法を教えられると成果を出せる若者(高校生)です。なので、採用半年間は応用編を期待せず、目的と方法を繰り返し教えてあげてはいかがでしょうか。何しろ今までそのように育てられていますので、急に一を聞いて十を知る力は発揮できません。

代表取締役社長 竹上順子

2013年08月