たけがみじゅんこのちょっといい話

2013.03.04

たけがみじゅんこのちょっといい話:女性大統領誕生に思う

 先月25日、韓国では女性大統領が誕生しました。
韓国は日本と距離が近く、そのため古代から中国とともに私たちの文化や生活に大きく影響を与えてきました。そのような近い国の女性大統領誕生でしたので、日本の遅々として進まない女性活躍が、この誕生と活躍とともに良い影響を受け、一気に拡大していくのではないかと、大いに期待し私は喜びました。
 何しろわが国は男尊女卑と言われる韓国(近日のマスコミ)と共に、育児期の女性の社会進出は障害だらけの国です。女性の労働力率を示す曲線を見ると、先進国の中で日本と韓国だけがM字型を描いており、他の国々のゆるやかな山型と比べると、その時期の女性の社会参加の難しさを如実に表しています。
 子どもを産んでも見てくれる人が近くにいないこと。仕事は生産性を益々求められ、職場の人が少なくなっていること。情報化が進み、覚えるそばから新しい知識を身につけていかなければならない環境になっていること。等など、周辺で起きているあわただしい環境の中では、“子育ても仕事も”という選択ではなく“今は子育て”という流れになっていくのでしょう。
 しかし30歳から45歳までの15年間の女性就業率がベコッとへこみ、両脇の25歳-29歳と45歳-49歳がそびえ立つというM字型曲線(※)は、明治のころからずっと、“我々は性別役割分担で国が支えられています”と主張しているかのようで、恥ずかしくもあります。
 少子高齢化社会では、女性も男性も長く社会に参加をしていかなければなりません。それには個々の置かれている環境の優劣を憂いるだけではなく、社会も子育てする女性や家庭を支える力を持たなければなりませんし、女性自身も自分のキャリアを積み上げることに、益々真剣にならなければなりません。
 つまり組織においては、入社時から分け隔てすることなく男女に能力研鑽の機会を与え、鍛えるあげる仕組みが必要ですし、それには部下の教育に積極的な上司の存在が不可欠です。ただ残念なことに近年の生産性重視の最前線の職場では、上司が業務に追われ、部下への関わりが薄くなりつつあることも事実です。部下教育に熱心な上司、自分のキャリアを真剣に考える女性、そしてそれを後押しする組織や社会の仕組みが大切だということです。でもまだまだ私の周囲では、女性管理職や女性役員(親族除く)は少ないように思っています。
 朴槿恵(パククネ)さんは大統領に選ばれた時、その並々ならぬ覚悟を「私は大韓民国と結婚した」と表現しました。いつの日かこの国で女性トップが生まれた時、その人が“私の子育て経験は国づくりに大いに活かされます”と言ってのけたら、それはとても素敵だと思います。

※M字型曲線:
女性労働者の年齢階層別の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)をグラフに表すと、30歳代前半をボトムとするM字カーブを描くことから、女性労働者の働き方をM字型曲線という。社会制度の整備によって年々改善傾向にある。

代表取締役社長 竹上順子

2013年03月