たけがみじゅんこのちょっといい話

2013.02.04

たけがみじゅんこのちょっといい話:居座る理由

もう2月も半ば、早いですね。受験生の皆さんは、入学試験に向けての勉強に最後の追いこみをかけているところでしょうか。
勉強と言えば、近頃ファーストフード店やカフェの中で、本やノートを開いている人が多くなりましたね。決して静かとはいえない環境で、なぜそのように勉強をする人たちが増えているのでしょうか。
多くは「自宅に自分の部屋がない。勉強に適した机と椅子がない」という理由からのようです。皆さんの家庭を思い返してください。家族の中で勉強机と独立した部屋を持っているのは、家族の中のどんな人たちですか。お父さんでもなく、お母さんでもなく、子どもたちではないのでしょうか。
その子どもたちも、大学で一人暮らしが始まると勉強机は処分し、ダイニングテーブルがその役目を果たすようになります。住居スペースが狭い私たちの住まいでは、大人になるにつれて勉強の機会は増えつつも、勉強の場を自宅で確保することは難しくなるのかもしれません。
ですからファーストフード店やカフェでの勉強は、ある程度しかたないと思ってはいますが、家に勉強机がありながら、何時間もカフェで席を占領する高校生の様子に、私はいつも腹立たしさを覚えています。長時間勉強をしている自分(高校生)のために、満席理由で何人もの人たちがその店を利用できなくなっているということを、教科書を理解するのと同じぐらい分かって欲しいと思います。
一方、客である私だけではなく店側も長時間客には頭を痛めています。かつての喫茶店はサラリーマンがゲームや漫画に興じており、新規客の入りにくさが経営課題でした。しかし今や時代が変わり、飲み物一杯で長時間居続ける人たちの存在が問題となってきました。特に混雑時に長時間客の為、一般客を断らざる得なくなっていることや、その際の対応で不快感をかうと、インターネットに悪口を書き込まれ、営業に悪影響を及ぼすという由々しきことが起きています。
分煙化や快適温度の空調整備という店舗の居心地の良さと、他人にはどのように思われても平気という感覚の広がりが、長時間居続け客の増加を広げているのでしょう。
人は何かを進めている時、近くで興味ある音や現象に反応すると集中力が途切れてしまいます。長時間客に困っている店舗から相談を受けると、私はその作用を接客時も活用し、長時間客には従業員が度々「お下げしましょうか」「相席をお願いできますか」など声がけをしていくように言っています。近づいてもらいたくない時に近づいてこられると、どんな人でもなぜ声をかけられているのか分かってきますからね。
あなたがもし飲食店で、飲食後も従業員から度々声をかけられるようなことがあったら、それは間違いなく、迷惑客なのです。ただ気の毒にも、家や会社に居り場がなく、そこにしか場所を見つけられないとしたら、正直にお店の方に事情を話し、受け入れてもらってください。

代表取締役社長 竹上順子

2013年02月