たけがみじゅんこのちょっといい話ブログ

　１１月ともなると街路樹が色づき、吹く風も一段と冷たく感じられるようになりました。
よく冗談で「北国の人たちは寒さから口を空けないでしゃべる習慣がある」などと言われますが、皆さんは聞いたことがありますか。これは口をパクパク開けて話すと、冷たい外気が口の中に侵入し寒さが一層増すので、自己防衛の手段として、そうしているとのことです。
そういえば私の東北地方の知り合いも、そのほとんどが小さめの口で上品に話される方が多いように思いますが、更に北の北海道の知人は、ハキハキと口を開けて話す人も多いので、一概に“寒さ”と口の開閉は、関係が薄いみたいですね。
　さてそんな小さな口での話し方ですが、最近は寒い地方だけではなく、広く身近な場にも広がってきているようにも思います。特によく感じるのは次のような言葉です。
“お”を言わない「はようございぅ」、“い”が言えない「ぇらっしゃいませ」、“あ”が消えた「ぇりがとうございます」は代表的な言葉です。いかがでしょうか。皆さんは耳にされたことはありませんか。そんな話を先日友人にしたところ、「そりゃぁ、単に歳で耳の聞こえがおかしくなったンじゃないの？」と、一笑されてしまいました。でもこれは決して聞く側の耳の問題ではなく、話す側の問題だと私は思っています。
まずこの様な伝わりにくい話し方は、顔の筋力の低下によって起こってきます。怒ってないのに「怒ってる？」と聞かれるようになったら、注意しなければなりません。
もう一つは気持ちの問題です。緊張をすると私たちは心が固まります。そうすると心とつながっている表情が固まり、口が開かなくなります。また違うことを考えながら話していても、心が離れているので、口の開き方は弱いようです。
こんな風に顔の筋肉（表情）は、気持ち（心）とつながっています。ぼんやりとした話し方が癖になってしまうと、普段の表情に影響を与えるので、注意が必要ですね。
近年増えてきた“ぼんやりした話し方”の原因は、なぜなのでしょう？　それは年齢を重ねたことによる顔の筋力低下なのか、心の想いや緊張のせいなのか、それとも寒さによるものなのか・・・。原因によって当然、対処も異なりますので、この機会にぜひ一度、皆さんの周辺の言葉に注意を払ってみてください。私も頬の筋肉を鍛えるべく、寒さに負けず、大きな口で話すよう“あ・え・い・お・う”と口パク運動に精を出すことに致します。