たけがみじゅんこのちょっといい話

2012.05.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:正しい情報獲得が「未来」をつくる

大学生の就職活動中の皆さんは、そろそろ内定証明書を手にする頃ではないのでしょうか。今年は企業の採用も、昨年の超々氷河期を脱し、やや採用門戸が広がったと聞いてはいますが、近年の外国人採用枠拡大の影響もあり、やはり新卒採用はまだ厳しい状態のようです。
 2012年版「子ども・若者白書」の原案では、将来に不安を抱く若者が多くいることが明らかにされました。15歳から29歳を対象にしたこの調査では、「十分な収入が得られるか不安」82.9%、「きちんと仕事ができるか不安」80.7%、「そもそも就職できるのか・仕事を続けられるのか」といった、社会参加ができるかどうかという質問には79.6%もの若者が不安だと答えています。
 “大人になったらみんな仕事に就く”という観念を、社会全体で持っていた20~30年前とは明らかに異なる時代に入っています。
 若者側から見ると、定年延長や再雇用の定着で、ひとりの人間の労働参加年数が増加し、その結果、新規採用枠が減少したと考えていますし、採用する側では生産性の観点から、社会性の面では手がかからず、技術習得などの育成に多くの時間を要しない人材を求めています。また新卒採用を中途採用以上に重視するのは、長期雇用が念頭にあるからです。
 このように仕事を通じて社会参加をしたいと思う若者も、パートナーとして活動に参加をして欲しい企業側も、欲しているにもかかわらず互いに理想が高すぎ、ミスマッチを起こしているように思えます。
その結果、就職してはみたものの「現実は違った」と数カ月での退職や心を病む若者が増加し、また企業側も採用はしたが理論優先で指示待ちの若者に手を焼き、結局戦力外とあきらめる。そんな事が起こっているのではないのでしょうか。
情報の獲得が容易になったこの頃は、相手に関する自分の得たい情報が安易に手に入るようになりました。例えば採用では、企業は社内の活動や社会貢献を、現実より美化して流していますし、若者もフェイスブックや個人ホームページを作り、売り込み用の自分を実際より素敵に公開しています。これでは本質的なものなど、分かり合えるはずはありません。
「理想が高すぎると、なかなか結婚ができないわよ」と、母は才色兼備の従姉に常々言っていました。就職も同じかもしれませんね。
理想を持つことは大切ですが、間違った情報で結婚すると後で落胆が大きいように、就職も未来の創出も、正しい情報獲得をした上で行動をしていかなければ、落胆が大きくなります。実際以上に自分を美化しすぎず、過信せず、相手(会社)選びをしていきましょう。
尚、今回の若者調査では、「老後の年金はどうなるか」の不安も8割以上を越えていました。この問題は若者に限らず、全年代が不安に感じているところです。そのような意味でも活発な企業活動の促進と、バランスのとれた社会制度の整備は、急がれますよね。

代表取締役社長 竹上順子

2012年05月