たけがみじゅんこのちょっといい話

2012.04.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:管理職の「忍耐」が育成キーワード

春に向けて天候不順が続き、大変でしたね。でもやっと、厚手のコートから解放され、心も軽くなりました。一年の中でもさわやかな風が吹くこの頃は、エアコンもヒーターも使わなくてもいいし、ガソリンの高値のことを考えなければ、ここしばらくは快適でエコな日々が送れそうです。
 さて、今年入社の新人の皆さんも集合の研修期間が終わり、そろそろ職場実習に出かける頃でしょうか。今年は厳しい就職戦線を乗り越えて採用を勝ち取った方が多いせいか、“周囲を見極め、自分を合わせ、主張できる人”が多かったように感じています。研修の中でも目立ちすぎず、周りと調和し、その中でも自己主張を嫌みなく行えるという、“大人っぽさ”が目を引きました。
新人の時、仕事は先輩の後ろ姿を見て覚え、細かな指導は夜の飲み屋で学んできたという熟年世代と、この頭でっかちの新人は、職場で本当にうまくやっていけるのでしょうか?
今年の新人は「知識獲得力が高く」、「受講は真剣で意欲的」、しかしながら「目標に向かう執着心が弱く」、「自己表現は乏しい」という傾向を持っています。(当社が実施した研修先からの分析)
教えられ、指導されたことは先ずは頭で理解しようとし、自分なりに順序立てを行い、それから実践するというタイプが多いようです。私のような「よく分からんけど、やってみれば何とかなるンじゃないの」という無謀な行動派はいたって今回は少なく、自信のないことや道筋が描けないことには、消極的。そんな印象でした。
と言うことは、育成するためには“道筋を立てて示せばいいじゃないか”と、あなたは考えたのではないですか? ところがそれは、そんなに思うほどうまくいかないのです。
なぜなら、物事を身体で覚えてきた人と、頭で覚えようとする人の間には、大きな意識の隔たりがあるので、相いれず、初めは道筋を立てて教育しようと意気込んで臨んでみても、その内、なかなか行動のできない若者に腹を立て、「早よ動け」とか「使えない」などとイライラしてしまうことが多いのです。
ですがこのイライラ期が、新人の成長にはとても大切です。イライラ期の克服は新人にとって受け身の仕事姿勢からの脱却を意味し、戦力化に向けた輝かしい第一歩になるのです。なんか理不尽のように感じられるかも知れませんが、上司や先輩のこの時期の忍耐は、明日の社会をつくってゆく“踏ん張り期”ととらえ、ここは頑張っていきましょうや。

代表取締役社長 竹上順子

2012年04月