たけがみじゅんこのちょっといい話

2011.09.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:日本流ビジネスマナー「ムズカシイデス」

米子オフィスには、鳥取県ブラジル県人会から研修派遣をされた、日系ブラジル3世の清水君が仕事をしています。
彼は州立サンパウロ大学で経営学を学ぶ大学生で、この春、日本の裏側のブラジルから日本企業の人事制度や社員教育を学びにやってきました。
そんな清水君の近未来の希望は、日系企業への就職。そしていずれは経営者として日本とブラジルで仕事をするのが彼の夢です。何でも彼の通っている州立サンパウロ大学というのは経営者になるための大学だそうで、そのため彼は、日本企業の人づくりを学びたいと思い研修生に応募したとのことでした。しかしその意欲とはうらはらに「ゆっくり話してくれないと分かりません」という日本語理解力と、「漢字は難しいから読めません」の識字力のため、とても日本企業の人事制度を学ぶにはほど遠く、とりあえず日本の会社で働く心得を当社で学ぶこととなりました。
まず教育係リーダーの井上さんから清水君が言い渡されたのは、「お客様がいらっしゃったら、立ち上がってあいさつをすること」でした。しかしインターネットに集中している清水君は、言いつけをすっかり忘れ、立ち上がるどころか完全無視をする日々が続いていったのです。
「あいさつはどうした」、「声を出せ」、「上目づかいは感じ悪い」と、事情を知らない人が見ると、いじめと紙一重のような檄が周りの社員から清水君に向けて飛びかい、その強い語気に怯えながらも、彼は日本の会社のおもてなしの一歩を学んだのでした。
お母さんが日系2世、お父さんが日系1世という清水君は、どこから見ても外観は日本の青年です。そのため片言の日本語で、「・・・シャイマシェ」(本当はいらっしゃいませと言っている)とあいさつする清水君に、お客様の方が面くらってしまいます。そんな戸惑うお客様の姿に傷つく清水君は「モット、ニホンゴ、ウマクナラナクチャイケマセン」と健気に語り、ビジネスマナーブックを開きながら日々、自己研鑽に励むのでした。
そんな清水君もインタープロスに来て早2ヶ月。近くの会社の社員集会にゲストとして出かけました。出発に先駆け、名刺交換を何回も練習し出かけた清水君は、先方の会社の応接室で名刺を出すなり、どこで覚えてきたのか「オハツニ、オメニカカリマス」とあいさつしたのです。人知れず懸命に日本語の勉強をしたんだろうなと、成果を実感した一瞬でした。
2時間程で帰ってきた清水君は、先方の会社で「日本の男の人は優しいけど、女の人は厳しいです」と言ったそうです。その女の人とは私たちインタープロスのことなのでしょうか。
ともあれ清水君を私たちは来年2月までにビシビシ鍛えあげ、日系企業に就職できるように育て上げなければなりません。このコラムをご覧のみなさん、もし御社で半日、清水君を社内研修させていただけるのであれば、いつでも勉強に行かせていただきますので、よろしくお願いいたします。

代表取締役社長 竹上順子

2011年09月