たけがみじゅんこのちょっといい話
2011.07.01
たけがみじゅんこのちょっといい話:バーチャルアイドル
先月、山手線渋谷駅のホームの壁に、少年少女たちの異常なまでの人だかりができていました。韓流スター、チャン・グンソクのイベントでも告知しているのかしら・・とばかりに、その人だかりに入って行くと、何とそこには一枚の大きなポスターが貼ってあり、「このポスターは、AKB48のメンバーの良いとこどりした、江口愛実ちゃんだよ」と憧れ目線で彼らが教えてくれました。江口愛実? はぁ?
すっかりおばちゃん化したというより、おばちゃんの私は、大型ポスターに見入ること約3分、やっと「そのこと」を理解することができました。そのポスターは、先回も総選挙で日本中を湧かせた、AKB48の主力メンバー6人の顔のあちこちをCG合成したもので、それも組み合わせが500万通りもあるというのです。
だから歌ったり、踊ったり動き回っても何の違和感もなく、実際に実物と会えないだけで、テレビやネット上では、アイドルと同じようにふるまう、限りなく人間ぽい作りモンなのです。その上、彼等はファンレターを出そうかと思うとか、メールを送ると返事が来るのかなぁと、まじめに話しているではありませんか。もうびっくりです。
そういえば今年の初め、鳥取島根経済同友会の合同例会で、アニメスターやCGから生まれた日本のキャラクターが、世界中で支持されているという話を聞きましたが、その時ピンとこなかった私も、渋谷のポスターの江口愛実ちゃんを見て、やっと心の奥底の方で納得できたのでした。
今やCGアイドルが若者の心をキャッチする。私から見ると、それって偽者でしょ・・と思うのですが、それが現実なのです。「3分で怪獣をやっつけるウルトラマンはすごい」と、スペシウム光線を真似ている子どもたちを見ると、頬がゆるみますが、この感覚が将来のバーチャル人間の支持につながっていくのかと、妄想を膨らませて考え、未来を憂いているこの頃なのです。これはジェネレーションギャップなのでしょうか。
以前、職場の中で会話をせず、すべてメールで済ませてしまう若者が問題視されていましたが、バーチャル時代に育ってきた彼らにとって、それが最も円滑なコミュニケーション手段であったのかもしれません。生の人間と、それも自分とは異なる感覚を持ち、時々部下に対し大声を上げたりする類の人間を彼らは好まず、そのような上司は仮想の世界で悪魔として作り上げられ、コンピューターの中で、血祭りに上げられているかもしれません。あなたも、あなたも、そして私も!
そんなことを考えていると、居酒屋で上司や同僚の悪口を言いながらホッピーを飲んでクダをまいているサラリーマンたちが、なんとかわいらしく見えてくることでしょう。
作りものと本物の違いは誰しも分かっていることですが、いつしかイミテーション世界に振り回されている私たちに気づかされます。情報やITツールがあふれかえる今日、それらを上手に選び、豊かな心で暮らしていきたいものです。
すっかりおばちゃん化したというより、おばちゃんの私は、大型ポスターに見入ること約3分、やっと「そのこと」を理解することができました。そのポスターは、先回も総選挙で日本中を湧かせた、AKB48の主力メンバー6人の顔のあちこちをCG合成したもので、それも組み合わせが500万通りもあるというのです。
だから歌ったり、踊ったり動き回っても何の違和感もなく、実際に実物と会えないだけで、テレビやネット上では、アイドルと同じようにふるまう、限りなく人間ぽい作りモンなのです。その上、彼等はファンレターを出そうかと思うとか、メールを送ると返事が来るのかなぁと、まじめに話しているではありませんか。もうびっくりです。
そういえば今年の初め、鳥取島根経済同友会の合同例会で、アニメスターやCGから生まれた日本のキャラクターが、世界中で支持されているという話を聞きましたが、その時ピンとこなかった私も、渋谷のポスターの江口愛実ちゃんを見て、やっと心の奥底の方で納得できたのでした。
今やCGアイドルが若者の心をキャッチする。私から見ると、それって偽者でしょ・・と思うのですが、それが現実なのです。「3分で怪獣をやっつけるウルトラマンはすごい」と、スペシウム光線を真似ている子どもたちを見ると、頬がゆるみますが、この感覚が将来のバーチャル人間の支持につながっていくのかと、妄想を膨らませて考え、未来を憂いているこの頃なのです。これはジェネレーションギャップなのでしょうか。
以前、職場の中で会話をせず、すべてメールで済ませてしまう若者が問題視されていましたが、バーチャル時代に育ってきた彼らにとって、それが最も円滑なコミュニケーション手段であったのかもしれません。生の人間と、それも自分とは異なる感覚を持ち、時々部下に対し大声を上げたりする類の人間を彼らは好まず、そのような上司は仮想の世界で悪魔として作り上げられ、コンピューターの中で、血祭りに上げられているかもしれません。あなたも、あなたも、そして私も!
そんなことを考えていると、居酒屋で上司や同僚の悪口を言いながらホッピーを飲んでクダをまいているサラリーマンたちが、なんとかわいらしく見えてくることでしょう。
作りものと本物の違いは誰しも分かっていることですが、いつしかイミテーション世界に振り回されている私たちに気づかされます。情報やITツールがあふれかえる今日、それらを上手に選び、豊かな心で暮らしていきたいものです。
代表取締役社長 竹上順子
2011年07月