たけがみじゅんこのちょっといい話

2011.02.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:5年ぶりの運転免許センター

今年に入って何度目かの雪が吹雪いた日、運転免許証の更新のため、運転免許センターに出かけました。雪のためか受講者はとても少なく、受付では並ぶこともなく、すいすいと手続きが終わり、免許更新に訪れた人より多いのではないかと思えるほどの職員に取り囲まれながら、講習を受ける教室へと進みました。
 私は今回訳あって、2時間の講習を受けることになっていました。前回受講をしたのは5年前ですから、ずいぶん昔です。5年の間に変わった交通標記の説明や、高齢者が自主的に免許証を返納すると、タクシーを1割引で利用することができるサービスがあるなど、高齢化社会ならではの取り組みに「なるほど・・」と、感心しながら聞き入っていましたが、そこで私はかつての免許証更新の講習会と雰囲気の違う、あることに気づいたのです。
あることとは「先生の話し方が普通になった」ということ、そして「講義が一方的ではなくなった」ということです。みなさんは気づかれていました?
私は昔、どうして免許センターの先生たちは、あんな面白いしゃべり方をするのだろうと不思議に思っていましたが、今やそのような面白さは姿を消し、その代わり参加意欲の低い受講者の気持ちを引き付けるため、質問をしたり手を上げさせたりする、双方向講義が取り入れられていました。何しろ2時間の長い講習ですから・・・。
例えば事故の話では、先生はみんなに問いかけます。「追突事故が増えています。この中で追突された経験のある人、手をあげてください」そうすると、今まで下ばかり向いていた受講者が一斉にサッと手をあげます。すると先生はあごを上げつつ「あぁ、今日はたくさんおられますなぁ。1番の方、どんな時にやられました?」と聞くと、札1番は小さな声で「ゆっくり走っていたら、スピードを出してきた車にやられました」。先生はすかさず「危ないですなぁ。次2番の方」。「私は信号で止まっていたのに、後ろから来たヤツに追突されましたッ!!」。今でも思い出すと悔しくてたまりませんわと、言わんばかりの声で札2番は言います。更に札3番は当てられることを予期してか、背筋をピンと伸ばし座っていると予想に反して先生は「40キロの道を60キロで走ると速度違反でつかまります。でもみなさん・・私がこんなこと言うのはおかしいですが、ホント道路には車の流れがありますので、その流れに沿って前や後ろそして信号に注意しながら運転してください」と締めくくってしまいました。緩急のある立派な講義です。
とこのように講義を私は受け、職員の皆さんのテキパキとした連携力によって「3年間、あなたに車の運転を許します」という証の新しい免許証をいただくことができました。しかしどうあれ講習2時間は長いです。“この次は最短講習で帰らねばならぬ”と、安全運転を心に強く決め、運転免許センターを後にした1日なのでした。

代表取締役社長 竹上順子

2011年02月