たけがみじゅんこのちょっといい話

2010.11.08

たけがみじゅんこのちょっといい話:ショッピングのカタチ

ウィンドゥショッピングという言葉を聞くと、みなさんはどのようなお店を想像しますか。女性は意外と休日のぽっかり空いた時間に、このウィンドゥショッピングを楽しむことが多いですよね。例えばデパートの最上階から1階まで見て回り、そして最後に地下の食料品売場で夕食の準備の食品を買って帰る・・・そんな風に思い浮かんだのは、女性、それも主婦ですね。またブランドや人気のお店をのぞきながらお店の人と会話をしたり、手にとってみたりして今のトレンドを吸収する・・・このように思い浮かんだ方も女性ですね。でも少しお歳は若いのでしょうか。
では男性はどうでしょう。男性で目的もなく町並みを歩きながら店をのぞくという方は少数派で、ほとんどは目的をもった視察派や購入派のようです。例えば、同業他社の商品確認のために店に行ってみるとか、自分の趣味のツリ道具やゴルフクラブの取扱店を回り見比べるといった具合です。
こんな風に女性と男性、そして年齢によっても買い物の楽しみ方や、対象の商品は異なるのですから、一家揃って買い物に出かけるなどという時期は、結婚したてのご夫妻や、子どもが小さい家庭の食料品の買出し、定年を終えた熟年夫妻の買い物といった頃に限定されているようです。
ですからウィンドショッピングを楽しむなどという時期は、子どもの小さいうちはまず無理、長いこと暮らしているご夫妻も趣味が違えば多分無理、最も無理っぽいのは父親が仕事で家にいる時間が少なく、子どもは中学生や高校生で家では部屋にこもりがち、興味があるのは携帯電話でのお友達との会話、こんなご家庭ではないのでしょうか。
ところがそのような家庭に家族団らんができる場所が、日本全国にどんどん生まれ、広がってきました。携帯電話や話題のiPhoneやiPadに興味のある子どもたち、新ゲームに目のない小中学生の男の子。かわいい洋服でしかも格安のものをたくさん持ちたい女の子や、家族のホームウェアや便利家電を見てみたいお母さん、そして職場の電子化が進み、そろそろ手持ちの携帯端末を大量データの受信できるものに変えたいと考えているお父さん。こんな人たちが集まれる場所といえば、そうです家電量販店です。
このごろの家電量販店は、電化製品だけではなく、衣類あり、レストランあり、アクセサリー小物あり、美容院あり、花屋、ケーキ屋、カフェ等などと、本当に一家全員楽しませる店舗になりました。郊外型のスーパーマーケットも確かに良く似た店舗が入っていますが、家電量販店はその名の通り、マルチメディアを中心とした生活を提案しているため、「スーパーなら行かない」と言っていた生意気盛りの子どもたちも、駐車場まで家族で出かけ、それぞれに目的の買い物やウィンドゥショッピングを楽しみ、そしてレストランで夕食をする。そしてそこではそれぞれが楽しんだ商品の会話ができる。そんな新しい買い物の環境提案が生まれてきています。
今月5日京都にヨドバシカメラ京都マルチメディア館がオープンしました。私たちも教育という仕事でその中に入り、様々なテナントの皆様とご一緒しましたが、本当にこれが家電店なのかというくらい多種多様な業種の集合店舗でした。
このように新しい買い物のスタイルの提案は、時代の求めに合わせて日進月歩で変化をし、その中でウィンドゥショッピングも目的買いも、そして家族団らんも大切な人とのデートのひと時も、どんどんとその変化の中に取り込まれています。
新しい時代に合わせた買い物空間の提案は本当にワクワクさせてくれました。でもそれだけで良いのかなと思うところもあります。やはり老舗というブランドを守り、商売をつなぎ、そしてお客様の家族構成まで顧客リストに加えながら、1人ひとりに合わせた提案ができる“商売店舗”が新しい大型店舗の対極にあるからこそ、豊かで近代的な生活や文化や伝統を大切にする心が生まれていくのだと思います。
京都という伝統的な街に、超近代的な発想で作られた新しい量販店は、日本だけではなく海外に広く日本を発信していく力があると思います。私たちの街にも伝統と近代のマッチングができる、そんな要素がたくさんあるのではないのでしょうか。

代表取締役社長 竹上順子

2010年11月