たけがみじゅんこのちょっといい話

2010.09.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:サポートは、「さりげなく」

今年の暑さは本当に堪えました。だいたい私は夏が大好きで、暑い中汗をかきながら動き回るのが好きでしたが、さすがに今年の暑さは、夜昼まるで境目なく暑いものだから、身体の休まる時もなく、2~3歳は早く歳をとってしまったような気がします。日本はいつの間にか亜熱帯地域に入ったと誰かが言っていましたが、そうなるとその内に街の街路樹は皆、椰子の木になってしまうのでしょうか。
 そんなうだるようなお休みの日、今人気のコールドビールBARにでかけてみました。ちょうどその日、銀座は午後からお祭りがあるということで、いつもにも増して大変な人出でした。いたる所でカキ氷だの、冷やした缶コーヒーなどが飛ぶように売れていましたが、やはりその中でもひときわ人だかりがある場所が、銀座松屋の近くにあるコールドビールBARでした。
並ぶこと約30分、これは比較的早かったらしいですが、それでも汗で身体中がじっとりと不快に湿り、20分もすると喉はカラカラに乾き始めました。この炎天下の空の下、そんなに好きでもないビールを求めて、どうして私は並んでいるんだろう、もう並ぶのやめて、近くの知り合いのカフェに行こうかしら、そんな気持ちに傾きかけた頃、私の前のゆかた姿のカップルが、「あぁもう少しだね。がまんして我慢して、これ以上ないくらい我慢して飲んだ一口目のビールの味は、生きていて良かったなぁと思うよね」と言っている。そんな事を聞いてしまうと、迷っていた私は「そういえばこの頃、生きていて良かったなぁ・・が少なくなったな」と、思い直し、頑張ろうという気になっていきました。
こんな気持ちの繰り返しがあって、やっと店内に入り、話題の氷点下ビールを飲んだ私は、ビールというより店内の爽やかな空気と室内温度に満足し、本当に幸せな気持ちになったのです。
そう言えば小学校の時(すごく昔)の大山登山で、軟弱な私は「足が辛いし暑いし、今なら引き返せる」などと考えていると、タイミングよく先生が「もう少し行くと米子の街が見えぇになぁ」などと言い、また辛いと思っていると「キャラボクまで近い」と声をかけ、少し休もうかと考えていると、「今、休むと歩き出す時に、もっとえらくなぁで」と、励ましてくれました。頂上近くになると先生は私たち軟弱チームをさっさと置いて、1人で行ってしまいましたが、もうその地点になると軟弱チームも一人ひとりが頑張りを見せ、最後は自力でゴールをしたような気になり、歓声を上げたのです。
こんな風に仕事でも人生でも、軟弱になったり、迷ったりしている時、近くの人が明るく前向きな声をかけて前に進む空気を作っていくと、頑張りがきくものです。単純な私など長蛇の列に並んでいる時にさえ、その効果が出ました。みなさんも周囲に暑さ負けしたり、仕事にむらっけが出ている人がいたら試してみてください。ただし、この声がけはさりげなく、気づかないふりをしながら、タイミングよく耳に届くようにすることがポイントです。

代表取締役社長 竹上順子

2010年09月