たけがみじゅんこのちょっといい話

2010.02.01

心ここに在らざれば・・・

『心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞(きこ)えず、食(くら)えども其の味を知らず』
私が小学校の5年生の時に、担任の先生から聞いた言葉で、時折、私の脳裏を過ぎる言葉です。
このことわざを、「本当にそうだな」と思う場面に、最近はよく出くわします。例えば、研修をしている時、受講生の中には、後ろのあたりの席でボーッとしていたり、明らかに別の考えごとをしている方もあります。研修中ですから当てると、慌てふためき、シドロモドロになって、その場を取り繕うことに必死です。
 その光景を見ると、研修の時間と費用をかけて受講しているのに、もったいないことだなと思いながら、その受講姿勢を「聞いていませんでしたね」と指摘をします。これが学生でなく、社会人ですから、会社からするとお金を捨てているようなものです。
 ですが、そういう私も、知り合いの方に「○○のスーパーで見かけたけど、目が合ったように思ったんだけど分からなかった?」などと、後々言われることがあります。また、社内のミーティングで「これ、前に言わなかったっけ?」と指摘をされたり・・・。全く、覚えがない、ということに恥ずかしさやら、申し訳なさやら、いたたまれない気持ちになります。
 その場にいて、見て、聴いているのに、記憶に全くインプットされていないということは、一体どういうこと?と考えてみます。すると、「結局は、気持ちの“持ちよう”か?」と、最初のことわざに戻るのです。昔の人は、よく言ったもんだ・・・。
 過去にとらわれ、なぜ失敗したんだろう?なぜこんなことになってしまったんだろう?などの分析を繰り返すと、その分析をしている自分に充実感を感じ、結局は、「今」が目の前を通りすぎて行っているのを見れなくなり、また、失敗をする・・・という悪循環に入るのかもしれません。
 今、目の前にあることを大事にして、反省はするけどクヨクヨしない、という姿勢を持つことは大事だなと思いました。
『食えども其の味を知らず』・・・美味しい物を食べても、その味わいを楽しめないなんて・・食いしん坊の私は、特にこの3番目の部分が一番セツジツに大変なこと!感じます。

inproコラム編集局 インストラクターA

2010年02月