たけがみじゅんこのちょっといい話

2010.01.29

たけがみじゅんこのちょっといい話:新年の祈願・・・想いは日頃から

新しい年が明け、今年の盛運を祈り、初詣にお出かけになった方も多いのではないのでしょうか。今年は神社仏閣共に、大変な人出だったと聞きていますが、やはり経済不安の濃い中、少しでも世の中が明るく前向きにと祈る人が多く、それが初詣の多さにつながったのではないかと思っています。私はこの1月、お正月のお参りを通して2つの学びを得ました。ひとつは大阪、今宮戎の「商売繁盛で笹もってこい」という神事に係わるできごとと、東京オフィスに程近い神田明神での初詣でのことです。
丁度えべっさんの日の1月10日、大阪にいた私は、乗り合わせた地下鉄で笹をたくさん入れた大きな袋を持った男性と隣り合わせになりました。「随分と笹をお求めになりましたね」と声をかけると、その男性は「これはお得意さん20件分の笹ですわ。不景気でっさかいにな・・皆がよおならんといけんと思って配ってまんのや」と大切そうに袋を抱え直される。大切なお得意様だからという気持ちがズシンと伝わってきて、さすが大阪商人は商売の本質、自分を取り巻く皆が良くならないと自分も儲からない。そのような商売の基本をしっかりと抑えていらっしゃるのだわ・・と心底感心し、今宮戎には行けなかった私でしたが、その方を通じてありがたい教えを御堂筋線の電車の中でいただけたことに感謝しました。
そして私、初詣の人が一段落した1月23日の冬晴れの中、お散歩気分で神田明神に初詣に出かけました。神田明神こと神田神社は “江戸総鎮守”。古くから商売の神様として知られています。今年も仕事始めの日、各会社の重役たちがお払いを受けて出勤する様子がテレビニュースでも流れていましたね。そしてこの神社は近所に銭形平次が住んでいたことでも大変有名です。
さてこの神田神社は大黒様、戎様、平将門様と3つの神様が祀られています。商売で関連付ければ、大黒様(縁結び)で素晴らしいパートナーとめぐり合い、戎様(商売繁盛)で互いに繁栄の礎を築き発展し、平将門様(厄除け)で、降りかかる困難を乗り越える・・そんな願いを込めて祈り、神様が助けてくださるのでしょうか。
私も社務所で名前を書き、衣をまとって祭殿の前に何人かの人たちと一緒に座りお参りをしました。他では体験したことのないアナウンスで始まり、神田神社の由来の説明、その後、神主による「悪行を振り払うお払いの儀」が続くと、ここでアナウンスは「皆さまの悪い心が取り除かれ、今清い心になりました」とおっしゃる。う~んと私は心でうなっていると「続いて皆様に福をおさずけ致します」と、巫女が鈴を鳴らし私の頭上を通っていくという、大変イベントチックな流れに自分が参加している神事ということを忘れ、ホントウに人形のように動いてしまいました。その結果、「玉ぐしにあなたの祈りを入れて下さい」とアナウンスが流れた時には、進行に操られている私は我に返り、「あれ?私は何をお願いするのだったかしら」とボンヤリし、あれこれ思ううちに、アナウンスは「はい、玉ぐしを収め一礼をしてください」と言っている。私の願いの薄い玉ぐしは神にささげられ、残念な想いを残す私は一礼で良いところを二礼もして、今年の初詣を終えました。やはり常に想いを強く心に刻んで、それも集中しておかなければ、いざと言う時、役に立ちません。そのような経営者としての基本を改めて教えられた今年の初詣でした。

代表取締役社長 竹上順子

2010年01月