たけがみじゅんこのちょっといい話

2009.12.24

たけがみじゅんこのちょっといい話:勝ち残るお店

12月になると街は一斉にキラキラとした電飾で華やかになり、どの街に行ってもその街らしいイルミネーションで飾られていますね。東京にある私たちのオフィスの周辺も華やかなLEDの光で目もくらまんばかりに輝いています。そうなると不思議なもので、神田橋の公園付近を住まいにしていたブルーシートのおじさんたちは、一斉に住まいを変えられるのかこの街からすっかりいなくなってしまいました。この寒い時期、どこに宿を持たれたのか・・・いつもこの季節になると余計なことですが、私は心配をしてしまいます。
さて、その光り輝くイルミネーションですが、神田駅西口にある商店街でも商店街らしい“招き猫”が何匹も光って客を招くという電飾が登場しました。招き猫効果なのか、昼夜、サラリーマンとOLと、そして周辺の店で働く外国の女性たちのエネルギーで、むせかえすような空気が12月の寒空をものともせずメラメラと通りの客を招き、漂っています。
その神田と言えばすし屋が多い街で知られていますが、この頃はこのすし屋を抑え、ラーメン店が軒を並べるようになりました。神田西口商店街のメイン通り1キロほどの間にラーメン店が12件。飲食ではありませんが、ラーメン店以上に進出がめざましいのがマッサージのお店です。お昼にツルッとラーメンを食べたり、飲んだ帰りにお寿司ではなくラーメンを食べる。残業で疲れた身体を23時まで営業しているマッサージ店の割引時間に身体をほぐして帰る。こんな風な利用の仕方をされるのか、この2業種の躍進は本当に凄いのです。
しかし、こんなにあるラーメン店ですが、どこもつぶれたりしていません。マッサージのお店も同じで、10分単位の店から指圧専門、整体専門、オイルリフレなど趣向を凝らし、どの店も流行りはあるものの、つぶれることなく営業しています。やはり同じような店同士、特色を出しつつ集まったほうが、お客様を呼びやすいようですし、たくさん集まっているから人を呼び、その中の自店の特色を前面に出した店を、客はその時々の気分に合わせて選ぶ。そんな流れが出来上がっているこの商店街に、いつも感心しています。
またこの商店街にはコンビニエンスも多く存在しています。しかしこちらは共存共栄とはならず、勝ち負けの勝負が激しく、先日も一店閉店しドラッグストアになりました。米子にもコンビニエンスは多いですね。競争の激しいコンビニエンスは安価で、薄利多売で営業をしているため、時間毎に変わるお客様層に合わせ仕入れを調整し、また立地周辺の環境に合わせた在庫商品を並べ、商売をしています。皆様もオフィス街にある店に22時頃出かけても新鮮なお弁当を求めることは難しいでしょう。でもそんな時間でも住宅街に近い店に出かけると、意外と新鮮な食品を買うことができるということにお気づきだと思います。在庫しているものも立地で変わり、学校が近い店では分度器も売っていますが、郊外店ではHBのシャープペンの芯さえ在庫していない店もあります。店が立地や客層を考えた仕入れをしている以上に、お客様側は店の仕入れの状況を見抜き、自分の買いたい物が多い所に自然に流れていっているようです。
同じような店が並びながらも特色を前面に出し流行る場合と、フランチャイズ店のように独自の個性は出せなくても、立地条件とお客様の流れで仕入れ調整をしながら商売をする場合とでは、いったいどちらが長く生き残っていくのでしょうか。

代表取締役社長 竹上順子

2009年12月