たけがみじゅんこのちょっといい話
2009.11.26
たけがみじゅんこのちょっといい話:全体最適
この頃、飲食に限らず、服飾、生活必需品、電気店など、全国チェーン店の進出は目まぐるしいものがあります。以前山陰は、料飲やコンビエンス業界ではお客様集客が難しいグレーゾーン地域と言われ、都会で名だたる名店の出店がなかなか進まなかったものですが、このごろは多くの名の知れた店が街に見られるようになりました。
フランチャイズの特長は、商品やチラシ、看板、什器類、経営指導も含め、本部からのノウハウが提供されるので、どの店に行っても大体同じで、私たちにとっても「安全で安心できる基準の守られた手ごろ感のある店」という、一つの安心感を持っていますね。
そのフランチャイズ店ですが、最近アルバイト社員の接客力が良くなってきたと思いませんか。と言ってもマニュアルによる画一的な応対ができるようになってきたというレベルですが、以前だと、目もあわすことが出来ないバイト君や、声が小さくて何を言っているのか分からないバイトさんも見られましたが、今や本部主導のマニュアル教育で格段にそれらは改善されてきました。
私も以前うどん屋さんで、声の小さい店員さんだったため、不安に思い注文をもう一度繰り返したところ、プィと膨れ、持ってきたお茶をドンと音を立ててテーブルに置かれた苦い経験を持っています。そういう点から見ると、マニュアルチックとは言え、フランチャイズ教育は成長してきているなぁ・・と感じています。
しかしこの接客、あくまで自分の店を利用するお客様にだけしか通用しないプログラムになっているせいか、決められた接客の流れにない対応となると、その力はガクンと落ちてしまいます。
最近こんな事がありました。私はパスタがおいしいチェーン店をよく利用していて、東京でも大阪でも、また地方に出かけた時も、近くの繁華街にあれば利用しています。その日は倉敷に用事があったため、丁度お昼時でもあり倉敷にその店があるはずと思い、岡山市内の同一チェーンの店で「倉敷店はどのあたりにありますか?」と尋ねたところ、バイトさんは困ったように「あるらしいですが、わかりません」と調べようとしません。「何か場所が分かるものはないの。誰か分かる人に聞いてみて」と言うと、素直に「聞いてきます」と奥に入り、唐突に「イオンの近くです」との返事する。「イオンってどこなの?電話番号ぐらい分かるでしょ?」またまた「聞いてきます」と奥に入り「それくらいしかわかりません」と、今度はもういい加減にしてよという顔つきで言う。私はこれ以上訊いても無駄だと判断し「じゃぁ、いいわ」と店を出ようとした途端、びっくりするくらい明るく「ありがとうございましたッ。またお待ちしております」とバイトさんは私に声をかけました。私は背中を向けていましたが、きっと表情も笑顔であったでしょう。「お客様がお帰りになる時は明るくあいさつする」このマニュアルを実践したバイトさんはそのことに満足し、私はやけに明るいバイトさんの声と笑顔に、店に対する不満をより一層募らせてしまいました。ガッカリです。
商売をする時、その商売の本質となるモノ(この店の場合はパスタ)が、良質であるということは必須条件ですが、商品だけではなく、今やお客様へはトータルでバランスのとれた均一質感のサービスを提供していくことが重要です。自分の店の商品を利用される方にだけ、サービスを良くすれば良いといった店の取り組み方ではなく、自分たちの店にいらっしゃる方全てのお客様とその要望に対し、人としてどう接していかなければならないか。そんなことを浸透させていかなければ、永い時代を越えて繁盛し続ける商売は成立しません。
マニュアルは一つの入り口です。ここから心配りや感謝する気持ちをどれくらい広げていけるかが大切な鍵ですね。つまり目の前のお客様へのサービスという部分最適ではなく、トータルで捉える全体最適の考え方で良い商売ができる店がたくさん街に出来れば、この街ももっと活気づいていくのではないのでしょうか。
フランチャイズの特長は、商品やチラシ、看板、什器類、経営指導も含め、本部からのノウハウが提供されるので、どの店に行っても大体同じで、私たちにとっても「安全で安心できる基準の守られた手ごろ感のある店」という、一つの安心感を持っていますね。
そのフランチャイズ店ですが、最近アルバイト社員の接客力が良くなってきたと思いませんか。と言ってもマニュアルによる画一的な応対ができるようになってきたというレベルですが、以前だと、目もあわすことが出来ないバイト君や、声が小さくて何を言っているのか分からないバイトさんも見られましたが、今や本部主導のマニュアル教育で格段にそれらは改善されてきました。
私も以前うどん屋さんで、声の小さい店員さんだったため、不安に思い注文をもう一度繰り返したところ、プィと膨れ、持ってきたお茶をドンと音を立ててテーブルに置かれた苦い経験を持っています。そういう点から見ると、マニュアルチックとは言え、フランチャイズ教育は成長してきているなぁ・・と感じています。
しかしこの接客、あくまで自分の店を利用するお客様にだけしか通用しないプログラムになっているせいか、決められた接客の流れにない対応となると、その力はガクンと落ちてしまいます。
最近こんな事がありました。私はパスタがおいしいチェーン店をよく利用していて、東京でも大阪でも、また地方に出かけた時も、近くの繁華街にあれば利用しています。その日は倉敷に用事があったため、丁度お昼時でもあり倉敷にその店があるはずと思い、岡山市内の同一チェーンの店で「倉敷店はどのあたりにありますか?」と尋ねたところ、バイトさんは困ったように「あるらしいですが、わかりません」と調べようとしません。「何か場所が分かるものはないの。誰か分かる人に聞いてみて」と言うと、素直に「聞いてきます」と奥に入り、唐突に「イオンの近くです」との返事する。「イオンってどこなの?電話番号ぐらい分かるでしょ?」またまた「聞いてきます」と奥に入り「それくらいしかわかりません」と、今度はもういい加減にしてよという顔つきで言う。私はこれ以上訊いても無駄だと判断し「じゃぁ、いいわ」と店を出ようとした途端、びっくりするくらい明るく「ありがとうございましたッ。またお待ちしております」とバイトさんは私に声をかけました。私は背中を向けていましたが、きっと表情も笑顔であったでしょう。「お客様がお帰りになる時は明るくあいさつする」このマニュアルを実践したバイトさんはそのことに満足し、私はやけに明るいバイトさんの声と笑顔に、店に対する不満をより一層募らせてしまいました。ガッカリです。
商売をする時、その商売の本質となるモノ(この店の場合はパスタ)が、良質であるということは必須条件ですが、商品だけではなく、今やお客様へはトータルでバランスのとれた均一質感のサービスを提供していくことが重要です。自分の店の商品を利用される方にだけ、サービスを良くすれば良いといった店の取り組み方ではなく、自分たちの店にいらっしゃる方全てのお客様とその要望に対し、人としてどう接していかなければならないか。そんなことを浸透させていかなければ、永い時代を越えて繁盛し続ける商売は成立しません。
マニュアルは一つの入り口です。ここから心配りや感謝する気持ちをどれくらい広げていけるかが大切な鍵ですね。つまり目の前のお客様へのサービスという部分最適ではなく、トータルで捉える全体最適の考え方で良い商売ができる店がたくさん街に出来れば、この街ももっと活気づいていくのではないのでしょうか。
代表取締役社長 竹上順子
2009年11月