たけがみじゅんこのちょっといい話

2009.06.18

たけがみじゅんこのちょっといい話:恋愛はヒトを変える~彼が得たもの

“就活”ならぬ“婚活”という言葉の流行とともに、熟年層の第二の人生に向けた結婚活動が、世間的にも認められ始めてきました。
かつて再婚で子供がある。または再婚するその相手に養育費を支払う義務のある子供がいるにもかかわらず結婚をする・・・といった結婚は、独身同士が結ばれるのにもかかわらず、初婚者同士の結婚と比較すると、「格」が違うと考えられるのか、「訳あり結婚」と、言葉上で格差をつけられていました。 しかし少子高齢化社会を迎えた昨今の日本では、家族を持ち子供を産み育てることを期待される30代の結婚の促進や、高齢者を含む熟年同士の結婚も、第二の人生を有意義に送るための選択として、世間から受け入れられるようになってきました。
そこで今月は、私の身近な熟年男性の結婚活動を通して私が発見した、恋する熟年が受け取る2つの効能を紹介したいと思います。
まず1番目の効能、「恋をするとその人の持つ良い所が引き出される」という事実。
私の友人Nさんは、大手機械メーカー勤務。5年前に離婚し、別れた奥さんが2人の子供を引き取りました。その頃のNさんは、別れた妻子に未練を残し、私が言うのもなんですが、仕事も今ひとつ身が入らず、夕方近くになると私たちのような強い女たちを集め、嘆きの酒に溺れていたものです。私たちはその姿を指して「優柔不断なガリガリ中年男の悲しき遠吠え」と言っていました。
ところがそのNさん。この1年半で、すっかり変わってしまったのです。 原因は“熟年(51歳ですから)の恋。どこで知り合ったのかは未だ不明ですが、本人曰く「あんた達と違って、その人といると安らぎを感じる」とおっしゃり、今は朝メール、夜は電話で愛を確かめ合っているとの事。 またスーツの着こなしも以前の同じ男とは思えない色使いやスタイルで、顔は変わらないのに、なぜかいい男に見えてしまう、そんな大変身をしました。
効能2番目、「恋することで青年の心を取り戻し、仕事も私生活も情熱的に取り組むことができる」という事実。
彼女は2人のお子さんのいる方で、お子さんはこの結婚に反対しているらしいのですが、Nさんは将を得んと欲すればまず馬を射よ!とばかりに、馬のために若い部下に今時の流行をリサーチしたり、若者の好む店に出入りをしたりと、馬を射るための涙ぐましい努力をしています。そうすると社内では、若い部下や新入社員から「役員なのに気さくな人」と評判があがり、職場の雰囲気も良いらしいのです。
いや~すごいパワーです。 むさい男性からダンディに変身。組織で孤立していた男が、若者の信頼を集める。この2つの成果は、たとえこの恋が破れても、Nさんの長い人生の中でキラリと光る出来事になるに違いありません。
ですから不幸にも連れ合いに先立たれてしまっても、努力はしたけど離婚をする事態に陥っても、熟年者や高齢者も元気でいれば、明るい幸せな未来があることを私は身近なNさんから教えられました。 ちなみにNさんの別れた奥さんは、離婚してから1年後に見合いで結婚をされたそうです。“男やもめにうじが湧く”と言われた時代はもう終わりを迎えたのかもしれません。

代表取締役社長 竹上順子

2009年06月