たけがみじゅんこのちょっといい話

2009.05.14

たけがみじゅんこのちょっといいはなし:つくばのタクシー運転手さん

久しぶりにつくばに行ってきました・・・・といっても、筑波山の登山に出かけたわけではなく、研修のために行ったのですが、行く度につくば沿線が開けていて、2005年の“つくばエクスプレス”が開業するやいなや、マンションや住宅団地が次々と建ち、どんどん都市化の様相を見せています。
その日つくばに向かう私は、朝6時過ぎの快速に秋葉原から乗り込み、ガランとした車内でゆったりと缶コーヒーを飲みながら和んでいると、南流山のホームに入ってきた上り電車は、朝の6時半という時間にもかかわらず、都心に向かう会社員で超満員のパンパン状態で、今日は仕事だから無理してそれも仕方なく早起きしてきたと思っている私は、こんな時間に戦場に向かう戦士のごとく電車のつり革に両手を上げ、東京に向かっているサラリーマンの姿に、驚きと感動を覚えました。男性の皆が同様に、つり革に両手を上げているのは、チカンに間違われないようにするためでしょうね。つくばエクスプレス開通で、より近くなった東京に通う人たちのベッドタウンとして沿線が発展を続けている様子は、立ち並ぶマンションの数と「分譲地あります」の大きな看板からも推し量れました。
しかしやはり、中心地から少し入ると田んぼと大きな研究施設が目につきます。私もその一角にある工場兼研究施設に向かったのですが、着くまでの間、タクシーの運転手さんから、最近のつくば市の都市化について話を聞きました。
運転手さんの話では、「この頃は都会の人がたくさんマンションを買って住まれてますが、住まれてから後悔される人が多いんですわ。ここらは車がないと生活できませんし、夜は真っ暗で、筑波大学の辺りは危ないんですよ。だから外は歩けん。その上、都会の人が望むような私立の小学校はありませんしねぇ。買ったは良いが後悔されとると聞いとります」更に続けて「お客さん、向井千秋さん見たことあります?」と唐突に聞かれ、「あの人もよく乗ってもらいますが、まぁ宇宙に行ったと言ってもフツーの人ですよ」おっしゃった。もしかして宇宙に行かれた向井さんは、この辺りの地球人とは違うということを言いたかったのか、それともあの向井さんを知っているという運転手さんの自慢話だったのかは今も定かではありません。
そうこうする内に研究施設に着き仕事を終え、また同じ道を20分、今度は違う運転者さんに「ここいらでも投資型のマンションが売れとるけど、ありゃぁ、買った人が損するわね。こんな所、田んぼしかありませんしな」と、また住んでも買ってもいけませんと聞かされる。帰りの運転手さんからは降りる時「お客さん、買っちゃいけませんぜ」と念押しをされ、「はい」と返事をした私でした。
そして今度は帰りの快速の中、またまた飛び上がるような出来事に遭遇してしまいます。向い側に座った若い女性が、ミニスカートから出ている足の太ももから足首まで日焼け止めクリームを塗り始めるではありませんか。私の隣は若い男性だったので、チラリとその男性の顔を見たら、彼の目も日焼け止めクリームの彼女にシッカリくぎづけでした。
向井千秋さんは宇宙飛行士ですが普通の人、しかし私の目の前で日焼け止めクリームを塗っている女性は、もしかしたら宇宙からきた宇宙人かもしれません。私はこの日、不慣れな早起きと珍しい出来事のせいか、夕方になるにつれて肩こりがひどくなり、寝込んでしまいました。皆さん、日焼け止めクリームは家の中で塗って外出しましょう。

代表取締役社長 竹上順子

2009年05月