たけがみじゅんこのちょっといい話

2009.02.01

たけがみじゅんこのちょっといい話:得意技に徹する

行って来ました東京原宿。
おととしの“ドラリオン”でも、度肝を抜くスーパーパフォーマンスと、迫力ある演奏と演出に、びっくり仰天した私でしたが、今年の演目“コルテオ”は、それを上回るシルク・ドゥ・ソレイユ史上最高と言われるほどのツアーショー。
すでに全米25都市でツアーを終え、ヨーロッパ公演前に日本に立ち寄った “コルテオ”は、前回の“ドラリオン”のように米子を除く、全国の主要都市を今回も回ると言うのです。(注意:パンフレットには、ヨーロッパ公演前に立ち寄ったなどとは書かれてはいません。パンフレットには全米を魅了したツアーは、ヨーロッパ公演に先駆け、日本ツアーが実現!!と、ありました)
それにしても私が出かけた日は2月6日の金曜日。夕方6時開場、7時開演という、会社勤めの人には厳しい開演時間のはずなのに、くるくる巻き毛の女性グループや、明らかに会社の一部署ごっそり早仕舞いをしてきた様子のサラリーマンとОL集団。入り口付近のたまりでは、夫の自慢と趣味の話を誰に話しているの?と耳を疑うような大きく高い声で話す主婦のグループ、そして、スポンサー筋と分かる不似合いな背広姿の紳士たちで、原宿新ビックトップ2800の客席は、ショーの始まる午後7時には、ほぼ満席となりました。初めて逢い、その後も決して関わることのない観客たちも、一緒に来た仲間との会話を忘れ、その夜、ショーを通じて一つの感動を共有したのです。
ミュージカルにしても芝居にしても、生のショーはごまかしがききません。シルク・ドゥ・ソレイユは超人化した空中ショーや大道芸でショーを引き締めますが、見ている誰もが「あんなに鉄棒が上手で大車輪が出来るならオリンピックになぜ出ない?」などと思いがち。自分の技を競うオリンピックと違い、ショービジネスに生きる彼らは、自分の得意技を絞り、その技を磨きに磨いて、プロである誇りと自信を満面の笑顔に変え、私たちを魅了しているのです。
得意技に徹し得意技を磨き、自分の進む道の中で自信を笑顔に変え、相手を魅了する・・・これはショービジネスに生きる人たちだけではなく、私たちの仕事でも同じではないのでしょうか。縁があり進みかけた道ですから、その中で得意技を発見し、磨き上げることに集中することが真の幸せにつながります。また環境の変化から、進みかけた道と異なる道を進むこととなっても、それが真の得意技を磨く道と信じ進むことも必要かもしれません。どのような世界にあっても、真のプロに出会うたび、私はその教えに気づかされ励まされます。
もし今、自分を生かす職が見つからないと思っているあなた。見つからないのなら他人が引いてくれたレールに乗ってみて、その中で努力してみるのも、案外良い結果を生むのかもしれません。結局自分を活かすためには、自分の努力の積み上げの上にしかないのですから。

代表取締役社長 竹上順子

2009年02月