たけがみじゅんこのちょっといい話

2008.02.01

目は口ほどのモノを言い

私たちの行う接遇研修では、「挨拶・言葉の投げかけは相手の顔を見て行う」というキーワードを基にロールプレイを行っています。研修の受講生に「挨拶は相手のどこを見ますか?」と質問をすると、多くの場合「相手の目を見てします」という回答が返ってきます。ですが、実際に行ってみると、それがかなり難しいことが分かります。相手の目をじっと見ると、たいていの場合どちらかが「プッ」と吹き出したり、照れ笑いを浮かべて目をそらしたりします。じっと見る目には迫力があり、また威圧的に感じることもあるため、3秒以上は凝視できないとも言われています。

先日、その場で初めて顔を合わせた同士が、お互いの目をじっと見ている光景を見ました。道路脇を自転車で進む若い男性に、後ろから来た若い男性が運転する車が「ピピッ!」とクラクションを鳴らしたために、双方、車と自転車から降りてきて言い合いになったという場面でした。あっと言う間に人だかりができて狭い道は、大渋滞です。(私もその渋滞に巻き込まれて車が立ち往生でした)
その二人は、お互いに手出しをするわけでもなく、顔と顔の間が10㎝ほどの距離にまで近づけ、じっと見詰め合ったまま動かないのです。まさに「目を逸らしたほうが負け」とでも言わんばかりに微動だにしません。

相手の目をじっと見据えるのは、“相手に挑むとき”と言いますが、現実にその状況を見ると、なるほどと納得できるものがありました。
“挨拶は相手の目を見てする”というのは、目を相手に向けるときのシンボルとしての言い方です。本当に目を見ると、自分は平気でも相手は、威圧的印象を受けるかもしれません。
“目は口ほどにモノを言い”・・・皆さんが、言葉をかける相手には本来の気持ちとは違うものが伝わっていないでしょうか?表情、態度、身だしなみなど、自分が知らない間にモノを言っていることがあるのです。本来の思いと別のものが伝わらないよう、気をつけようと私自身も改めて思いました。


inpro コラム編集局 : インストラターA

2008年02月